白の世界にて
ぱぴぞう
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白の世界の白うさぎ
白い椎の根 白い穴
白い土蹴たて
飛び出した
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野原を見つけ白うさぎ
白い地面に寝転がる
辺りは白いものばかり
すべての白が美しい
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ここには白いものばかり
けれども白いうさぎには
白くないものが
あったとさ
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それはウサギの真っ赤なお目目
この世に一つの二つのお目目
ところが馬鹿な白ウサギ
真っ赤なお目目が大嫌い
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「みんながみんな真っ白なのに
わたしは赤い目のウサギ
赤い目を持つウサギには
白の世界は似合わない」
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「真っ白ウサギになりたいな」
白い雲行く白い空
白い大地にその背を伸ばし
白いウサギはいったとさ
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白の世界のその真ん中の
野原を走る白ネズミ
白いお尻をちょこまか振って
白いネズミはウサギにいった
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「赤い目をしたウサギの旦那
真っ赤なお目目を憎むなら
いっそその目をそこらの棒で
潰してしまえばいいじゃない」
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そこでウサギは考えた
痛い思いはきらいだけれど
真っ白ウサギになるためだ
やってみようと考えた
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真白に枯れた欅の下で
白い棒切れやにわに拾い
ひょいと目玉を
突いてみた
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真っ赤なお目目が一つに二つ
真っ白な血をぽろぽろ流し
ウサギの足元ぽとりと落ちて
ころころころと転がった
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白の世界のその真ん中で
その時ウサギが見ていたものは
ただ一面に広がった
黒い暗闇だったとさ
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