暗渠のうた
Archilochus Tokiensis
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「私は川だった」
「私は水路だった」
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乾いた街に雨が降る
トタン屋根の首府に
アスファルトの巷に
ドブが消えた都に
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さようなら さようなら
川に歌う さようなら
水はどこへ流れるのか
生活の幸を祈れもせず
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「私は今も川だ」
「私は今も水路だ」
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おれはみつけた
水仙いろした泥の都
しとどに濡れた街の秘所
はねが ぬれるよ はくちょう
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ああ 溢れ出す母音を
押しとどめるように蓋をされ
韻律がセメント漬けにされようと
暗渠は歌う おのれ自身を
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だからきみも
路地裏では耳をすまし
まぼろしの水音と合唱せよ
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おはよう おはよう
川は歌う おはよう
水は地下を流れてゆく
生活の幸を祈りながら
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