逆しまの月
ひいし
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はじめから宙を見上げていた
そこに居場所はないと知って
それでも見上げることを
やめられなかった
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水面に映る月影ならばどれ程良かっただろう
空を透く月光なら
その中で輝く埃ならば
どれ程よかっただろう
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逆しまの月 張りぼての星
輝きはなく、貴さはなく、美しさはない
抜け落ちた名の残された香り
ただ、それだけが
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はじまりからこの場所に在る
進む道だけは示されていた
ただその道が
黒々としていただけで
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宙を映す鏡ならどれ程良かっただろう
月光に濡れる枯れ木なら
その枝先から散る葉の一枚なら
どれ程よかっただろう
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逆しまの月 歪んだ星の絵
輝きはなく、貴さはなく、美しさはない
抜け落ちた名の残された香り
ただ、それだけが
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夜が明ける 朝が訪れる
この体は月と同じように消えてゆく
草の上の朝露の中に
仄かな色を残して
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水面に映る月影ならばどれ程良かっただろう
空を透く月光なら
その中で輝く雫なら
どれ程よかっただろう
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逆しまの月 張りぼての星
輝きはなく、貴さはなく、美しさはない
抜け落ちた名の残された香り
ただ、それだけが
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