姪といーじーどぅだんす
あーちゃん/小室哲哉
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いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
踊るわたしなど姪は見てない
いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
つぶらな瞳で興味深けに揺れる自分をニコニコ見てる
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去年、今はもう打ち捨てられた実家をそのままに
しておけないので、わたしら夫婦は車で先乗りし、
まだ手の離せない姪は、母親である
妹と一緒に新幹線でやってきて落ち合った。
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ずり這いを覚えた姪は、ずりずりやっていた。
まだ歩き回ったりしないし、いたずらもしない。
軽かったので、非力なわたしでも背負えた。
邪魔されないうちにやっちまおう。わたしはそれだけを考えた。
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旦那さんは庭の草刈り、私たちは家の片付け
捨てるものと捨てられないものに選別した。
時間もないので、みんなで急いでやった。妹は必死で
あるはずのシムシメールの絵画を探したが、見つけられず。
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帰る日に、妹が荷物の片付けに追われていると、
姪が突然ぐずり出した。妹は自分の子供には
優しくわかるように笑顔で話しかけるが、
大人であるわたしには容赦がない。つまりこのままではキレる。
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姪もきっと大泣きする。わたしは使命感に駆られ、
妹の抱っこ紐を使い、姪を前抱っこして、
姪の名前を連呼しながら、とりあえず踊ってみた。
妹は片手間に愛娘をちゃんとみつつ、
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「まんざらでもないって顔してるよ」
と失笑した。若干調子に乗ったわたしは、
そのまま姿見の前に移動してみた。
姪は抱っこされた自分の姿をまじまじと見つめていた。
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いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
音痴だけど仕方なく歌を歌い、踊り狂う
いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
姿見に映る、揺れる己を姪が見てる。
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いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
小室哲哉さん、最強の子守唄をありがとう。
いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
姪は、わたしのお腹でグラングラン揺れて、楽しかったようだ。
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いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
三分踊って力尽きた。姪の機嫌はなおっていた。
いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
部屋へ戻り倒れた。姪を潰さぬよう関節で踏ん張る。
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いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
「もう無理、死ぬ」ゼエハア言いながら、やっと言葉が出た。
いーじーどぅだんす いーじーどぅだんす
「死のワルツだね!」妹がご機嫌でおちょくってきた。
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