695757 / 梟
斜日の踊り子たち【前奏】
拳銃の音を聴いて
お前は目覚める
母親の顔も知らず
一人で泣き叫びながら
薄い網膜の中で
ぼやけた輪郭を描く
その描いた像の滑稽さに
お前は思わず笑う
「『死にたい』なんて言葉を
軽々しく言うんじゃない」と
道行く人が怒鳴る
目の前の電車が通り過ぎる
涙のような雨が降っている
お前は相変わらず道標を探す
誰かが吐いた溜息を呑み込みながら
微かに聞こえるビートを煮え滾らせて
涙のような雨が降っている
お前は相変わらず居場所を探す
自分で吐いた溜息をまた呑み込み
固く結んだ醜い握り拳を振る
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